ゴキブリ1匹発見。この家に、あと何匹?
「ゴキブリを1匹見たら100匹いる」。深夜のキッチンで1匹と目が合った瞬間、この言葉が頭をよぎって眠れなくなる。よくできた言い回しですが、100匹という数字そのものに根拠はありません。誰かが数えて確かめた数ではないのです。
とはいえ、この通説を笑って終わらせるわけにもいきません。「1匹の後ろに仲間が隠れている可能性が高い」という部分は、残念ながら当たっています。どちらに転ぶかは、見つけた1匹の状況で見分けがつきます。まずはそこからです。
「1匹いたら100匹」は本当なのか
100匹の根拠はありませんが、仲間がいる可能性を疑うべき理由は2つあります。
ひとつは繁殖力です。クロゴキブリのメスは卵鞘(らんしょう)という卵のケースを1個産むたびに20〜40匹が孵化し、一生のうちに何度も産みます。家の中で産卵されていれば、見えない場所に数十匹規模の幼虫がいる計算になります。もうひとつは習性で、ゴキブリは仲間のフンの匂いに集まる集団性を持ち、暗く暖かい隙間に固まって潜みます。目につく場所へ出てくるのは、いわば人口があふれたときです。
一方で、夏の夜に外から迷い込んだだけの単発の1匹というケースも普通にあります。目安はこうです。
- 単発侵入の可能性が高い 大きな成虫が玄関・ベランダ近くで見つかった。見かけたのは今年初めて
- 住み着きを疑う 小さな幼虫を見た(幼虫は巣の近くからしか歩けません)。日中に見た(数が増えて追い出された個体)。フン(黒い点々)や卵鞘の殻がある
今夜、目の前の1匹はどうする?
まず目の前の1匹を仕留めます。おすすめは殺虫スプレーか、なければ食器用洗剤を数秒かける方法(気門をふさいで窒息させます)。叩くのは最終手段にしてください。潰すと体液や卵が飛び散り、かえって不衛生です。
処理したら、死骸はティッシュで直接触れずに回収してビニール袋で密封、ゴミ箱へ。死骸を放置すると仲間のエサになります。最後に、出た場所の周辺をアルコールか洗剤で拭いておきましょう。フンや体液の匂いが残ると、仲間を呼ぶ目印になります。
見失った。追いかけるべき?
家具の裏に逃げ込まれたら、深追いは要りません。家具を動かして追い回すより、逃げた先の周辺に毒餌を置くほうが確実です。ゴキブリは物陰に隠れてもエサを探しに必ず出てきます。
明日からの1週間で何をする?
本命の対策はここからです。やることは2つだけです。
- 毒餌(ベイト剤)を置く 食べた個体が巣に戻って死に、そのフンや死骸を食べた仲間にも効く連鎖型の駆除剤です。キッチンのシンク下・冷蔵庫の裏・コンロ周り・洗面所など、暗くて暖かい場所に複数置きます。置いてから効果が巣に回るまで1〜2週間が目安
- 入り口をふさぐ エアコンのドレンホースの先に防虫キャップ(100円ショップにあります)、換気扇や通気口にフィルター、排水口周りの隙間にパテ。外から入られる限り、駆除してもきりがありません
くん煙剤(バルサンなど)を焚くかどうかは状況次第です。潜んでいる成虫・幼虫には効きますが、卵鞘には薬剤がほぼ効きません。使うなら、卵が孵化する2〜3週間後にもう一度焚くのがセットです。
何匹も見かけるようになったら
毒餌を置いて2週間以上たつのに姿が減らない、日中も見かける、フンがあちこちにある。この段階まで来ると、壁の中や家電の内部に巣が育っている可能性が高く、市販品での自力戦は消耗戦になります。集合住宅では隣室から供給され続けるパターンもあり、こうなると建物側の駆除(プロの薬剤散布+侵入経路の特定)のほうが早くて安く済みます。業者の費用感と選び方はゴキブリ駆除を業者に頼む基準と費用にまとめています。
やりがちな3つの失敗
最後に、1匹見つけた人がやりがちな失敗を挙げておきます。どれも実際によくある行動です。
- スプレー片手に追い回して見失う 慌てて噴射して物陰に逃げ込まれ、居場所だけ分からなくなるパターン。逃げられたら追わず、毒餌に切り替えるほうが結果的に早く片付きます
- 「1匹だけだった」と安心して何もしない 単発侵入なら正解ですが、幼虫やフンのサインを見落としていると、次に見るのは数匹まとめてになりがちです。今夜の1匹のサイズと場所だけは確認しておきましょう
- くん煙剤を1回焚いて終わりにする 卵に効かないため、2〜3週間後に孵化した幼虫が復活します。焚くなら2回セット、が鉄則です
1匹の夜にどこまでやったかで、その夏の残りが決まります。今夜は目の前の処理と拭き掃除まで、週末に毒餌と防虫キャップ。ここまでやれば、たいていの「1匹」はそれきりで終わります。
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