布製品清掃

洗ったのに、翌日また臭う

週末に靴をしっかり洗って、外に干して、月曜の朝に履く。夕方、玄関で脱いだ瞬間にまた同じ臭いがする。

洗い方が足りなかったのでしょうか。

そうではありません。落とし損ねているのは汚れではなく、靴の内側に残った菌のほうです。洗剤は汚れを落としますが、繊維の奥に潜り込んだ菌までは届きません。そして菌は、翌日の汗をもらって同じ仕事を再開します。

洗ったのに翌日また臭うのはなぜか

足から出る汗そのものは、ほとんど無臭です。臭いを作っているのは、足の皮膚にいる常在菌のほうです。

菌は汗と、はがれた角質と、皮脂を分解します。その過程で出てくるのがイソ吉草酸という酸で、蒸れた靴下や古いチーズにたとえられるあの臭いの主成分です。つまり順序としては、汗が出る、菌が食べる、酸ができる、臭う。汗を止められない以上、手を入れられるのは菌のほうになります。

「汗をかきやすい体質だから仕方ない」ってあきらめてる人、多いんだよね。でも臭いを作ってるのは汗じゃなくて菌のほうだから、そこは変えられるよ!

洗ってもまた臭う理由も、ここで説明がつきます。中敷きの裏や靴の内張りの繊維には、洗剤の泡が届ききりません。生き残った菌は、靴が完全に乾く前に次の汗が入ってくれば、また増え始めます。一日履いた靴の内部が完全に乾くには、丸一日以上かかります。毎日同じ靴を履いている限り、菌は常に湿った場所を確保していることになります。

乾かす、洗う、菌を減らす

順番が大事です。いきなり洗うと、乾ききらないうちに履くことになって振り出しに戻ります。

ヒント
重曹は、酸であるイソ吉草酸を中和して臭いを弱めます。古い靴下に重曹を入れて靴に詰めておく方法は、吸湿もかねて有効です。ただし重曹は菌そのものを殺すわけではないので、乾燥と洗浄の代わりにはなりません。

よくある質問

Q10円玉を入れると臭いが取れると聞きました
A
銅イオンに抗菌の働きがあるのは確かですが、靴の中に数枚転がしておく程度では、内側全体に行き渡りません。手軽ではあるものの、乾燥と洗浄をやらずにこれだけで済ませるのは無理があります。
Q消臭スプレーではだめですか
A
出かける直前に使うぶんには役に立ちます。ただし香りで覆うタイプは、菌が残っていれば数時間で元に戻ります。除菌をうたうタイプでも、湿ったままの靴では菌がすぐ増え直します。乾燥とセットで使ってください。
Q足を洗っているのに臭います
A
石けんで足の裏をなでるだけだと、指のあいだと爪のまわりに角質が残ります。菌の栄養はそこにあります。指を1本ずつ広げて洗い、洗ったあとは指のあいだの水気をきちんと拭き取ってください。
Q臭いが強くて水虫が心配です
A
臭いの原因菌と、水虫の原因になる白癬菌は別のものです。臭いが強いからといって水虫とは限りません。ただし蒸れた環境はどちらにも都合がいいので、皮がむける、かゆみが続くといった症状があれば皮膚科で見てもらってください。

洗えない革靴でやれること

革靴は丸洗いできません。水に浸けると型崩れし、乾いたあとに硬くなります。それでも打てる手はあります。

まず中敷きです。革靴の中敷きは交換できるものが多く、臭いの大半はここに溜まっています。新しい中敷きに替えるだけで、体感がはっきり変わることがあります。抜けない造りなら、固く絞った布で拭いてから完全に乾かします。

そのうえで、内側に消毒用エタノールを軽く吹いて陰干しします。革の表面にかけると色が抜けることがあるので、内側だけにとどめてください。乾いたらシューキーパーを入れて形を保ちます。

中敷きは数百円から。靴そのものを買い替えるより、桁がひとつ小さいよ。まずはそこから試してみて〜!

それでも臭いが抜けない革靴やブーツは、靴専門のクリーニングに出す選択肢があります。分解に近い工程で内部まで洗って乾かすので、自宅の手当てとは届く範囲が違います。

靴箱が臭いの出どころになっているとき

一足だけでなく、下駄箱を開けた瞬間に臭う。この場合、靴を直しても戻ります。

湿った靴をしまい続けた靴箱は、内部の湿度が上がったまま下がりません。中の靴が全部その環境に置かれるので、洗ったばかりの靴まで巻き込まれます。

この記事のまとめ
  • 足の汗はほぼ無臭。臭いを作るのは常在菌が汗と角質を分解して出すイソ吉草酸
  • 洗っても残るのは汚れではなく菌。靴が乾く前に履くと、また増える
  • 順番は乾かす、洗う、除菌。2足で回すだけで乾く時間が倍になる
  • 重曹は中和と吸湿。10円玉や消臭スプレーは補助で、乾燥の代わりにはならない
  • 革靴はまず中敷き交換。数百円で、買い替えより桁がひとつ小さい