重曹で泡は出たのに、数日でまた臭う
清掃で入った家のシンク下に、重曹とクエン酸の袋が並んでいることがよくあります。聞いてみると「週に1回、排水口に振って泡を出している」と言います。泡がしゅわしゅわ出て、収まると、その日は安心して終わりです。それでも数日たつと、ゴミ受けを外した瞬間に同じ酸っぱい臭いが戻ってきますよね。
この繰り返しが起きるのは、重曹に向いていない仕事を任せているからです。重曹は、流れが止まった管を通す道具ではありません。ゴミ受けや排水口の手前の壁面に付いたぬめりを中和して、臭いをためにくくする日々の手入れの道具です。
流れが止まった状態の直し方は排水溝のつまりに、封水が切れて下水の臭いが上がってくる場合の切り分けは排水口が臭いときにまとめてあります。ここでは、水は流れているのに臭う段階で、重曹をどう使うかに絞って話します。
現場で見る、重曹を毎週振っているシンク
シンクは普通に使えています。皿も洗えますし、水がたまることもありません。それでも夕方にゴミ受けを外すと、酸っぱい臭いがします。こういう家で毎週振っている重曹は、その日の表面のぬめりを動かすところまでは働いています。
問題は、泡が届いていない場所です。奥の塊や、管が曲がったところに付いた油には、泡が届く前に反応が終わってしまいます。届かない場所に向けて毎週同じ量を振り続けても、臭いが戻る繰り返しは切れません。
ここで切り離しておきたいのが、泡が出ることと臭いが消えることは別の合図だという点です。泡は、アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸が触れて二酸化炭素が出ているだけで、管が通った証明にも、ぬめりが落ちた証明にもなりません。泡を見て安心する気持ちはよく分かりますが、見るべきなのは泡ではなく、翌日のゴミ受けの臭いのほうです。
キッチンの油と、お風呂の髪では効き方が違う
重曹が得意なのは、油と皮脂のぬめりです。アルカリ性の重曹が酸性寄りの油汚れを中和して、浮かせやすくします。逆に、髪の束や石けんカス、歯みがき粉の固まりは性質が違うので、重曹を振っても手応えがありません。場所ごとに、重曹が向く汚れと届きにくい汚れを分けておくと、毎週の粉が空振りしなくなります。
| 重曹が向く汚れ | 重曹が届きにくい汚れ | |
|---|---|---|
| キッチン | 軽い油とぬめり | 固まった油、食べカスの塊 |
| お風呂 | 皮脂のぬめり | 髪の束、石けんカス |
| 洗面 | 軽いぬめり | 歯みがき粉の固まり |
お風呂で毎週重曹だけを振っている家は、髪を取る作業を飛ばしていることが多いです。髪は中和では減りません。ゴミ受けの手前で、手で取り除くしかありません。
石けんカスはアルカリ性なので、同じアルカリ性の重曹を足しても中和しません。こちらはクエン酸の担当です。どの汚れにどちらを使うかは、重曹・クエン酸・セスキの使い分けに早見表があります。浴槽そのものの皮脂や水あかは話が別になるので、ここでは排水口に絞ります。
週1の手入れは、次の順で回してください。
- ゴミ受けを外して、見える髪とカスを捨てる 中和で減らない汚れを、先に手で取り除いておきます
- 重曹を振って、ぬるま湯を注ぐ クエン酸を足すなら、最初から混ぜ切らず、重曹を振ったあとに重ねます
- 30分ほど置いて、ブラシで壁面をこすってから流す 泡は汚れを浮かせるところまでで、落とすのはブラシの仕事です
- 流れが戻らない、水位が下がらないときは、手入れからつまり直しへ切り替える 粉を足しても届かない段階です
この流れで毎週続けていると、ゴミ受けの臭いは戻りにくくなります。泡の量が増えたかどうかではなく、翌日に臭わなかったかどうかで、効いているかを判断してください。
よくある質問
重曹だけでは流れが戻らない症状
次のような症状が出ているなら、手入れの段階はもう過ぎています。
- 水を出すとシンクにたまって、引くのに時間がかかる
- お風呂で体を洗っているあいだに、足元の水がくるぶしまで上がってくる
- 洗濯機の脱水のたびに、防水パンから水があふれる
最初の2つは、管の途中に塊ができていることが多いです。重曹を足すより、パイプクリーナーで溶かすか、ラバーカップで押し流すほうが先になります。3つめは洗濯機の排水口に特有のつまり方なので、洗濯機の排水口の掃除で手順を確認してください。
順番としては、重曹で動かなかった時点で、ラバーカップやパイプクリーナーへ移ってください。つまりかけた管に重曹を足し続けると、粉が水分を吸って、かえって狭い場所を作ることがあります。
封水の臭いとの見分け
旅行から帰ってきたら家じゅうが下水くさい、という臭いは、排水トラップの水(封水)が蒸発している型です。コップ1杯の水を足して臭いが引くなら、重曹の出番はありません。
酸っぱい生ゴミのような臭いで、水を足しても残るなら、ぬめりのほうです。重曹の手入れが効くのはこちらになります。
もう1つ、シンク下の収納を開けたときだけ臭いが強い場合は、排水ホースと床の管のつなぎ目にすき間ができている型です。ゴミ受けにいくら重曹を振っても届きません。
3つの見分け方は排水口が臭いときに手順があるので、そちらを先に試してください。重曹を使うのは、ぬめりだと分かってからで遅くありません。
自分で続ける手入れと、業者に渡す線
自分で続けられるのは、ゴミ受けを毎回空けること、週1の重曹、壁面のブラシまでです。ここまでを回していれば、水が流れている排水口の臭いは、かなり戻りにくくなります。
一方で、水位が戻らない、2階で流した水の音が1階の排水口から聞こえる、床下で水の音がする、という症状は管の奥で起きています。粉を足しても届かないので、水道修理の業者に渡してください。
業者に渡す前に1つだけ、毎週の泡を手入れの実績として数えないでください。泡は中和の合図で、管が通った記録ではありません。見積もりのときは、水は流れているけれど臭うのか、流れが遅いのかを先に伝えると、業者側も見当をつけやすくなります。
最後に残るのが、夕食のあとに油をシンクへ流す習慣を、週1の粉でどこまで打ち消せるかという問いです。粉の量を増やす前に、皿の油を紙で拭き取ってから洗うほうが、翌週の臭いを止めやすいです。
- 重曹はつまり直しではなく、ぬめりと臭いをためない週1の手入れ
- 向くのは油と皮脂。髪の束と石けんカスには届かない
- 泡は中和の合図で、管が通った証明にはならない
- 封水切れとつなぎ目のすき間は、重曹の前に切り分ける
- 水位が戻らない段階は、粉を足さずに業者へ
注意