掃除全般

畳のカビに、濡れ雑巾を当てない

畳に白いものが浮いているのを見つけても、濡れ雑巾には手を伸ばさないでください。

水拭きは、畳のカビに対していちばんやってはいけない手当てです。その日は消えたように見えますが、翌週には前より広い範囲に出ます。理由は2つあって、どちらも畳という素材の性質から来ています。

水拭きが逆効果になる理由

畳表はイグサを織ったものです。イグサは湿気を吸って吐く性質を持っていて、それが和室の調湿を支えている一方、水を含むと内部の水分がしばらく抜けません。カビが増えるのに要る湿度を、こちらから供給する形になります。

もうひとつは胞子です。畳の表面に出たカビを濡れた布でこすると、胞子が水と一緒に畳の目に沿って広がります。拭いた跡が線状にカビるのは、これが原因です。

畳の目とは、畳表のイグサが織られている方向を指します。この方向に沿って動かすか、逆らうかで、カビが繊維の間に押し込まれるかどうかが変わります。手順のすべてが、この目の向きに掛かっています。

白か、青緑か、黒か

色で、この先やることが分かれます。畳に顔を近づける前にマスクをして、窓を開けてから見てください。

黒い点は、洗剤や薬剤の問題ではありません。繊維の奥に入り込んだものは、上から何を塗っても戻りません。

白いカビを畳の目に沿って取る

用意するのは消毒用エタノール、乾いた雑巾を数枚、使い古しの歯ブラシ、それにマスクとゴム手袋です。掃除機は最初には使いません。

注意
塩素系漂白剤はイグサを脱色して、拭いた部分だけ白く抜けます。重曹もアルカリで黄変させるので、畳には使えません。畳に残る選択肢は消毒用エタノールです。エタノールは引火するので、火の気をなくして換気しながら使ってください。

黒い点まで来ていたら、表替えを考える

黒いカビが畳表の内部まで入っていると、自分の手当てでは色が戻りません。ここから先は畳店の領域になります。

表替えとは、畳床(土台)はそのままに、表面のイグサだけを新しく張り替える工事を指します。費用は畳表のグレードで幅があり、1畳あたりおよそ4,000〜15,000円かかります。畳床まで湿気で傷んでいる場合は新調になり、1畳あたり10,000〜30,000円ほどかかります。

判断の目安は次のとおりです。

最後の項目に当てはまるなら、畳ではなく床下の湿気が出どころです。畳を替えても同じことが起きるので、床下の換気を先に見てもらってください。和室が複数あって全体にカビが回っている場合は、畳店の前にハウスクリーニングで室内全体の状況を見てもらう選択肢もあります。

夏の和室でカビを呼び戻さない

梅雨から夏にかけて、和室の湿度は他の部屋より下がりにくくなります。畳そのものが湿気を吸って抱えるからです。

ヒント
和室にカビが出た年は、同じ部屋の押入れも開けてみてください。畳より閉め切られているぶん、先に出ていることがあります。取り方は押入れのカビにまとめています。

よくある質問

Q畳用のカビ取りスプレーは使えますか
A
畳用として売られているものなら使えます。浴室用のカビ取り剤(塩素系)は用途が違うので、畳には向きません。買うときは成分表示を確認して、次亜塩素酸ナトリウムが入っているものを避けてください。
Qカビ臭いのに、見た目には何も出ていません
A
畳の裏か、その下の床板に出ていることがあります。畳は端をマイナスドライバーなどで持ち上げると外せるので、裏面を確認してください。持ち上げた機会に、床板にも風を当てて乾かしておくと効果があります。
Q新しい畳なのにカビが出ました
A
新しい畳表は水分を多く含んでいて、イグサの香りが強い時期ほどカビも出やすくなります。不良品ではありません。入れ替えて最初の梅雨から夏は、換気と除湿を意識してください。
Q掃除機で吸えばいいのでは
A
カビが出ている状態でいきなり掃除機をかけると、排気で胞子が部屋中に散ります。エタノールで湿らせて拭き取り、完全に乾いてから最後にかけてください。

やってしまいがちな手戻りは2つです。ひとつは濡れ雑巾で拭いて、翌週に線状の広がりを作ること。もうひとつは重曹で落とそうとして、その部分だけ黄ばませることです。どちらも「汚れを落とす」つもりの動作が、カビ相手では逆に働いた例です。要るのは消毒用エタノールと乾いた布、それに乾かす時間です。

この記事のまとめ
  • 水拭きは畳に水分を足し、胞子を畳の目に沿って広げる。翌週に範囲が広がる
  • 白い綿状は自分で取れる。青緑は範囲の確認が要る。黒い点は内部まで入っていて戻らない
  • エタノールを先に吹いて2〜3分置き、畳の目に沿ってかき出して一方向に拭く。掃除機は最後
  • 塩素系は脱色、重曹は黄変。畳に使えるのは消毒用エタノール
  • 黒が広範囲、押すと沈む、裏にもカビ。どれかなら表替えか新調を畳店へ